B2Bデータエンリッチメントとは、手元のレコードに不足している有用な項目を追加することです。 たとえば、Company NameとWebsiteを含むCSVに、Industry、Company Size、検証済みの連絡先情報などを追加します。取得した値は、リストをOutboundに利用したりCRMへインポートしたりする前に確認してください。

大切なのは、「不足しているどの項目が、次の意思決定を変えるのか」を考えることです。業界別にアカウントを振り分けるなら、まず業界情報を追加します。特定の担当者へ連絡するなら、送信前に役職と連絡先を確認しましょう。本ガイドでは、データの種類、取得元、使用するツールを解説します。

目次

データエンリッチメントの基本

データエンリッチメントでは、既存のレコードを起点に、別のソースから情報を追加します。ソースにはデータプロバイダー、企業Webサイト、自社内に蓄積されたデータなどがあります。ただし、正しいレコードに紐づけられ、情報が最新かどうかを確認できて初めて、そのデータは役に立ちます。

B2Cデータエンリッチメント

B2Cデータエンリッチメントでは、顧客レコードに属性、取引、行動に関する情報を追加することがあります。企業が収集・利用できる範囲は、データの内容や取得元、本人の所在地、適用される法令によって異なります。ビジネス上の連絡先情報についても、収集・利用には適切な根拠が必要です。

一般的に、B2Cのエンリッチメントでは次のようなデータを利用します。

  • ファーストパーティの行動データ: Webサイト上の行動、購入履歴、アプリの利用傾向
  • デモグラフィック・サイコグラフィックの分類: 年齢層、一般的な関心、ライフスタイルのセグメント(特定個人を示すデータではありません)
  • デバイス・技術識別子: 広告ターゲティングに用いるCookie、デバイスID、IPアドレス
  • ソーシャルグラフデータ: 影響関係を把握するためのつながりや共通の関心

項目そのものと同じくらい、取得元と許可された利用目的が重要です。プロバイダーから値が返ってきたというだけで、その情報が正確であり、Outreachに利用できるとは限りません。

Surveillance
Surveillance

B2Bデータエンリッチメント

B2Bデータエンリッチメントでは、企業やビジネス担当者のレコードに項目を追加します。企業ドメインはアカウントと企業属性データの照合に、氏名と勤務先は担当者と現在の役職の照合に役立ちます。チームが不確かな一致を利用前に確認できるよう、入力値、追加した項目、取得元を見える状態にしておきましょう。

たとえば、Company NameとWebsiteを含むリストにIndustryを追加します。取得した行を使えば、キャンペーン対象のアカウントを絞り込めます。一致しないドメインや矛盾する業界情報は、推測した値で置き換えず、人が確認してください。

Simple isn’t it?
Simple isn’t it?

B2Bでデータエンリッチメントが重要な理由

他社と同じ古いリストを購入するのではなく、自社でデータエンリッチメントを行うと、大きな競争優位性を得られます。その理由は次のとおりです。

データを自社でコントロールできる

エンリッチメントのワークフローを構築すれば、目的に合う項目を選べます。たとえば、アカウントの振り分けには業界情報を追加し、担当者が現在も自社の解決する課題を管轄しているか確認するには最新の役職を追加します。後から検証できるよう、新しい値と取得元はセットで保持しましょう。

正確性と鮮度を確認できる

人は転職し、企業のWebサイトも変わるため、取得した情報は時間とともに古くなります。特に担当者の役職やメールアドレスは、取得元の最終更新日を確認してください。再度エンリッチメントを実行することは有効ですが、それだけで結果の正しさが保証されるわけではありません。

コンテキストでコンバージョンを高める

有用なコンテキストがあれば、相手に合ったメッセージを作成しやすくなります。たとえば、業界情報をもとに、メールへ具体的な事例を盛り込めます。ただし、誤った項目はメッセージの関連性を下げるため、利用前に根拠を確認してください。

Do it yourself
Do it yourself

💡 コンテキストのないデータは、ただの文字列です

B2Bデータは、適切なコンテキストと組み合わせて初めて力を発揮します。ICPや営業プロセスに合わないデータセットでは、成果につなげるのは困難です。自社でエンリッチメントの仕組みを構築すれば、すべてのデータを目的に沿って活用できます。

データエンリッチメントの種類

B2Bのデータエンリッチメントには、2つのレベルがあります。

  • 担当者レベル(プロスペクト)
  • 担当者が所属する企業(アカウント)

それぞれのレベルで押さえておきたいポイントを見ていきましょう。

プロスペクトレベルのデータ

これは、アプローチする相手を理解するためのデータです。メッセージを相手に合わせるうえで役立つ情報を見つけます。

属性情報連絡先情報インテントデータより深いインサイト
役職検証済みのビジネスメールWebサイトの閲覧(料金ページ、特定のブログ記事など)過去の職歴と以前の役職
所在地(市区町村、都道府県、国)直通電話番号または携帯電話番号コンテンツのダウンロード(eBook、ホワイトペーパーなど)プロフィールに記載された仕事上の関心やスキル
役職レベル(経営層、VP、マネージャーなど)LinkedInプロフィールURL外部サイトでのトピック調査(特定ソリューションへの関心を示す情報)記事や投稿で言及されている専門分野

アカウントレベルの企業情報

企業を理解すると、Outreachに必要な広いコンテキストが得られます。アカウントを見極める際や、相手の状況に合わせて価値提案を調整する際に役立ちます。具体的には、次のデータが有効です。

企業属性データ

  • 従業員数
  • 成長指標: 売上、従業員数、部門規模の伸び
  • 業界(SaaS、製造、ヘルスケアなど)
  • 年間売上高
  • 企業所在地(本社および各拠点)

より深いインサイト

  • テクノグラフィックデータ: 企業が利用しているテクノロジー(CRM、マーケティングオートメーション、クラウドプロバイダーなど)
  • 資金調達: 最近の資金調達ラウンド、投資家、調達額に関する情報
  • 企業ニュース: 最近のプレスリリース、製品発表、経営陣の交代
  • 採用動向: 特定職種の積極採用は、成長や課題を示すシグナルになります
All you need to know about account data
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B2Bデータエンリッチメントの活用例

データエンリッチメントは、実務上の目的を達成するために行うものです。ここでは、B2Bデータエンリッチメントが特に大きな効果を発揮する活用例をご紹介します。

Outbound Sales

最も一般的な活用例です。エンリッチされたデータにより、営業チームは精度の高いターゲットLeadリストを作成し、大規模なOutreachでもパーソナライズを実現できます。

  • ターゲティング: 業界や企業規模だけの絞り込みから一歩進み、競合製品を利用している企業、最近資金調達した企業、特定職種を採用中の企業などを狙えます。
  • フィルタリング: 自社に合わないLeadをシーケンスからすばやく除外できます。営業担当者の時間を節約し、重要な相手への対応に集中できます。
  • コンバージョン改善: 関連データに基づいてパーソナライズしたOutreachは、汎用テンプレートより高い返信率を期待できます。

Account-Based Marketing(ABM)

B2BデータエンリッチメントなしにABMは成立しません。ABMでは、各ターゲットアカウントを一つの市場として扱いますが、その実践には具体的で正確なデータが欠かせないためです。

  • アカウント選定: 企業属性データとテクノグラフィックデータを使い、価値の高いターゲットアカウントを特定します。
  • ステークホルダーマッピング: アカウント内の主要な意思決定者を洗い出し、役割と責任を把握して、購買委員会全体へ働きかけます。
  • パーソナライズしたキャンペーン: ターゲットアカウント固有の課題や取り組みに合わせて、コンテンツや広告キャンペーンを作成します。

CRMのエンリッチメントと更新

信頼できる唯一の情報源が古いままでは意味がありません。 そのため、CRMのクリーニングとエンリッチメントを定期的に行い、データをクリーン、正確、かつ実用的な状態に保つ必要があります。

  • データクレンジング: 役職、企業名、連絡先など、古くなった情報を修正します。
  • 自動更新: CRMに入った新しいLeadを自動でエンリッチし、チームが常に全体像を把握できるようにします。
  • Lead Scoring: 企業規模や利用テクノロジーなど、追加したデータを使ってLeadをより正確に評価し、フォローアップの優先順位を決めます。

B2Bデータエンリッチメントのデータソース

利用できるデータソースは数多くありますが、すべての情報を網羅する単一のソースはありません。そのため、複数のB2Bデータエンリッチメントツールを組み合わせる方法が効果的です。

Sources ranked by comprehensiveness of their data
Sources ranked by comprehensiveness of their data

LinkedIn Sales Navigator

個人的には、Datablist.comのようなデータ集約ツールが最も便利です。次の機能をまとめて利用できるからです。

これらの機能を一つのサブスクリプションで利用できるため、複数の契約を結ぶ必要がありません。さらに、高品質なLeadリストも驚くほど簡単に作成できます。

You can compare it with a mall, many stores, one building
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Email Finders

ビジネスメールアドレスの検索と検証に特化したツールです。パターン照合からメールサーバーでの検証まで、さまざまな手法を使って高い到達率を確保します。

B2Bデータベース

ZoomInfoなど、企業・担当者情報をあらかじめ大量に収録したデータベースです。電話番号の取得元として役立つ場合がありますが、前述のとおり、正確性や鮮度に問題があることも少なくありません。 また、大企業のデータに偏っている場合があります。

Webサイトのスクレイピング

これは、B2Bデータエンリッチメントのソースや手法として、最も過小評価されているものの一つです。流れは次のとおりです。

↳ 複数のソースをスクレイピングする

↳ ↳ コンテキストに沿ってリサーチする

↳ ↳ ↳ あらゆる組織への理解を深める

従来型スクレイパーのようにCSSセレクターへ依存せず、コンテキストに基づいて情報を抽出できるAI scraperを使えば、これらをすべて実行できます。

Datablist’s AI Agent can help with this
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データエンリッチメントツール

ここでは、データ戦略の実行に役立つ代表的なB2Bデータエンリッチメントツールをご紹介します。

Datablist.com:B2Bデータを成果につなげるプラットフォーム

Datablistは、営業・マーケティングチーム向けのデータ集約プラットフォーム兼、柔軟なワークフロービルダーです。

  • 自社の条件に沿ってLeadリストを作成・クリーニングしたいチーム向けに設計されています
  • メール・電話番号検索、AI agents、web scrapers、自動化、LLM processorsなど、50種類以上のB2Bデータエンリッチメントツールとプロセッサーを提供しています
  • 年間契約を結ぶ前に、あらゆるワークフローやアイデアを試せます
With Datablist you can get any data you need
With Datablist you can get any data you need

Sales Navigator:B2Bデータエンリッチメントの基盤

LinkedInでプロスペクトやアカウントを探すための必須ツールです。

  • 多くのマーケティング・営業チームにとって、新鮮なB2B一次データの主要な取得元です
  • Datablistが提供するような安全なSales Navigator scraperと組み合わせると、特に効果を発揮します
  • データを書き出す必要がなければ、ほかのツールなしでも利用できます
My love
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FullEnrich:連絡先データのWaterfall Enrichment

メールアドレスと電話番号の検索に特化し、80%を超える高い検出率を誇るB2Bデータエンリッチメントツールです。

  • 20社以上のプレミアムベンダーのデータを、一つの画面とサブスクリプションに集約しています
  • バウンス率1%未満、catch-allメールの検証、携帯電話番号優先など、高品質な連絡先情報に重点を置いています
  • Waterfall Enrichmentは海外データも幅広くカバーします
  • Datablist内で利用でき、成功した場合にのみ料金が発生します
Full Enrich
Full Enrich

Wappalyzer:テクノグラフィックデータ基盤

B2Bデータエンリッチメント分野で実績があり、優れたtechnology finderの一つです。

  • 利用しているテクノロジーを条件にアカウントを検索できます
  • 特定のWebサイトで使われているツールの特定に役立ちます
  • 月額250ドルを支払わずにDatablist内で利用できます
Wappalyzer
Wappalyzer

Firecrawl:AIアプリ向けスクレイピングAPI

Webサイトのクロールとスクレイピングに対応したAPIファーストのプラットフォームです。

  • Webデータをアプリケーションやワークフローへ組み込む必要があり、開発者がいるチーム向けに設計されています
  • Firecrawlを組み込める開発者がいないチームでも、DatablistのAI Agentを使えばすぐに始められます
Firecrawl
Firecrawl

まとめ

データエンリッチメントは、もはや「あれば便利」なものではありません。B2BのGo-to-Market戦略を成功させるために欠かせない要素です。受け手は、テンプレートそのままのメッセージや、自分に関係のない自動シーケンスにうんざりしています。

強力なAIや自動化プラットフォームを含め、現在利用できるデータエンリッチメントツールを活用すれば、高品質で関連性の高いデータを、これまで以上に速く低コストで取得できます。 そのデータを実務へ生かすことで、より効率的で効果が高く、人を中心に据えた営業プロセスを構築できます。

B2BデータエンリッチメントのFAQ

データエンリッチメントとは?

データエンリッチメントとは、社内にある生のファーストパーティデータへ、外部ソースから不足情報を追加して価値を高めるプロセスです。プロスペクトやアカウントについて、より完全で正確なプロフィールを作り、営業・マーケティング活動の成果を高めることが目的です。

おすすめのデータエンリッチメントツールは?

最適なツールは、具体的な用途によって異なります。

  • LinkedIn Sales Navigatorは、新鮮なビジネス一次データを得るための定番ツールです。
  • Datablistでは、任意のWebサイトのスクレイピング、メールアドレスや電話番号のエンリッチメント、AIと自動化を活用した独自のデータワークフロー構築ができ、取得したデータを実務へつなげられます。

ChatGPTでデータエンリッチメントはできる?

ChatGPTは少数のレコードを調査する際には役立ちますが、大規模なデータエンリッチメント向けには設計されていません。大容量ファイルの処理には向かず、「ハルシネーション」、つまり誤った情報を自信ありげに生成することもあります。本格的なデータエンリッチメントには、Datablistのような専用ツールを利用してください。

適切に行えば合法です。公開されているビジネス情報を正当な事業上の利益のために処理し、本人のオプトアウトする権利を尊重する限り、GDPRの適用地域を含む多くの地域でB2Bデータエンリッチメントは認められています。

Data EnrichmentとData Appendingの違いは?

両者は同じ意味で使われることも多いものの、厳密には少し異なります。Data Appendingは通常、メールアドレスや電話番号など、不足している特定項目の追加を指します。Data Enrichmentはより広い概念で、データの追加だけでなく、クリーニング、検証、さらに深いコンテキスト情報の付加も含みます。

データエンリッチメントの始め方は?

まずは小さく始めましょう。

  1. 自社にとって重要なデータを把握するため、Ideal Customer Profile(ICP)を定義します。
  2. LinkedIn Sales Navigatorのような、クリーンで高品質なソースから生のリストを作成します。
  3. Datablistなどのツールを使い、検証済みメールアドレスやテクノグラフィックデータといった重要項目を数個追加します。
  4. Outreachへの効果を測定し、その結果を見ながらプロセスを拡張します。

出典

[1] 営業KPIダッシュボードを提供するPlectoによると、平均コンバージョン率はB2Bが2.23%、B2Cが1.7%で、その差は0.53ポイントです。つまり、B2Bのコンバージョン率はB2Cより約31%高いことになります(同社なら詳しいはずです)

[2] 大手B2BデータベースのSmarteによると、世界のデータ劣化率は年間平均30~70%です